プロプレイヤー紹介

【Clifford Brown】若くして逝去してしまった、後世に絶大な影響を与えた天才

はじめに。


こんにちは、けんちゃんです。

今回は1950年代という今から約70年も前に活躍していたトランペッター、Clifford Brown(クリフォード・ブラウン)を紹介します。

ビバップと呼ばれるジャズを創生した名アルトサックス奏者、Charile Parker(チャーリー・パーカー)が活躍していた時代に共演をしていたプレイヤーです。

不幸にも交通事故により25歳という若い時期に亡くなってしまった方ですが、今でも彼の演奏はトランペットプレイヤーだけではなく、他の楽器演奏者にも絶大な影響を与えています。

Clifford Brown(クリフォード・ブラウン)の略歴


Clifford Brown(クリフォード・ブラウン)はアメリカ合衆国のデラウェア州ウィルミントンに生まれました。

12歳の頃から演奏を開始し、学生バンドなので演奏活動をしている中でDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)に出会い、本格的にジャズ・ミュージシャンを目指すようになったようです。

フィラデルフィアを拠点に活動していた頃にCharile Parker(チャーリー・パーカー)と共演しており、演奏に感銘を受けたチャーリーが著名なドラム奏者であるArt Blakey(アート・ブレイキー)に推薦するほどこの時点から演奏が特筆して素晴らしかったと分かります。

1954年にマックス・ローチとともにクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットを結成しました。
Clifford Brown – Max Roach QuintetのCDは、私が彼の演奏に出会うきっかけになったもので、こんなにも情熱いっぱいに暖かく、美しい演奏をする人がいるんだ!と感動したのを覚えています。

1956年6月26日、悲しいことに25歳に彼が乗っていた友人の妻が運転する車が交通事故に会い、亡くなってしまいました。
まだまだこれからという時期に亡くなってしまったのですが、既に残された演奏は多くの人に多大な影響を与えています。

サックス奏者のBenny Golson(ベニー・ゴルソン)は彼の死に激しいショックを受け、追悼して作成されたバラードである「I Remember Clifford」を作曲しています。
この曲は、ジャズ・スタンダード曲となり後世の著名なトランペッターの名演が沢山残されています。

Clifford Brownの演奏

Cherokee


最初に紹介したいのが、Max Roach Quintetでの演奏である、「Cherokee」です。

あまりにも有名な演奏なので、きっとどこかのカフェとかお洒落なスペースで一度は無意識に聴いたことがあるかもしれません。笑

高速なテンポでジャズ・スタンダードの中でも難しい部類に入る演奏ですが、難なく余裕を感じさせるフレージングで吹き切っています。


何より驚きなのが、全てのフレーズを彼は「シングル・タンギング」でニュアンスをつけて演奏をしているという所です。

多くの人はタンギングが間に合わず、「ダブル・タンギング」という手法を使って演奏することが多いかと思いますが、彼はシングル・タンギングに拘り、美しく味のある素晴らしい演奏を可能にしています。

一つ一つの音の粒がはっきりしていて、「これがトランペットなのか???」と信じられないような演奏です。

私にとって、永遠の憧れであり目標となっている演奏です。

Night In Tunisia


次に紹介するのは、現在も頻繁にトランペッターが演奏している「Night In Tunisia」という曲です。

この曲はソロ入りがブレイクといって、全楽器が演奏を止める空白ゾーンから始まるのですが、あまりにも流れる美しいソロ入りをしていたので、電車の中だったにもかかわらず一人で笑ってしまったのを覚えています。。。

テーマ演奏も、こんなに綺麗にニュアンスをつけて歌い上げられるか?と感動しまくりの最高の演奏です。

彼のソロを譜面に書き出しているアーティストの動画もあったので紹介します。

一回目は耳で聴くだけをお勧めしますが、何回も聴いた後はフレーズをみながら聴くとより素晴らしさが分かるかと思います。

moke Gets In Your Eyes


次は、バラード演奏を紹介します。

Cherokeeでハマった後、高校の最寄駅のCDショップで「Clifford Brown with Strings」を買いました。(なぜか1,000円くらいでした)

ヴァイオリンやチェロとクリフォードという、特殊なバンド形式での演奏なのですが、高校時代から何回繰り返し聴いたかわからないくらい衝撃を受けたものになります。

自分の憧れの音、音楽表現の頂点をいっているものだなとおもっていて、聴き直すと自分の演奏にすごく影響を与えているのがよく分かります。笑

全曲最高なのですが、その中でも大好きなのが「Smoke Gets In Your Eyes」です。

ソロがあるというものではなく、有名な曲のテーマをバラード形式で歌い上げているのですが、この曲で頻繁に出てくるミドルFのビブラートかかった伸ばしが何回聴いても痺れるくらい美しいのです。

美しく歌い上げられる演奏家でありたい、と強く思わされる演奏です。


次は曲ではないのですが、クリフォードの練習風景の録音です。

彼がフレーズにどういう風に向き合い、ニュアンスの練習をどのように行っていたのか?の一端を聴くことができる貴重な演奏です。

Facebookでたまたま以前流れてきたもので、まだ深く研究できていないですがトランペットを深めたい人にとって参考になる演奏ではないかと思います。

Clifford Brown 10 practice 1/2
Clifford Brown 10 practice 2/2


こちらは、クリフォードの演奏スタイルの分析と奏法を解説している動画です。

Dominick Farinacci(ドミニク・ファリナッチ)というアメリカで現在活躍しているジャズトランペッターによるもので、素晴らしい演奏と共に解説を載せてくれています。(残念ながら現在は英語版しかないです。)

Clifford Brown’s Solo on “Cherokee” Analysis
How to Ghost-Tongue (Clifford Brown)
Daahoud – Clifford Brown – Practice to the Band Stand
Clifford Brown’s “Joy Spring” Analysis

最後に。


書いている中で、彼に多大なる影響を受けているんだなあと強く感じることができました。

彼が活動した時期は短かったですが、残した音楽によって本当に沢山の人の人生を変えています。
トランペットはまだまだ可能性があり、その音で人の心を動かし人の人生も変えると実感しています。

彼からもらったものを音という形にして、次世代に繋げていける演奏家でありたいなと強く思いました。




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