もくじ
突然ですが、あなたはトランペットを日々吹いていて、こんなことを思ったりしませんか?
- ハイノートが続くフレーズを練習してるとすぐバテがちで、曲中でも時々使い物にならない音になることがある。
- fとかffの力強い音色は得意だけど、mpやpの繊細な音色はとても苦手。
- 日々、より高い音・より太い音を目指している。だから、それを支えるために唇や腹筋などのエネルギーを使うため、トランペットはめちゃくちゃ疲れる。
- 音の立ち上がり(入り)が苦手で、タンギングや息のスピードに頼って勢いで出すことがよくある。
- ファーガソンやエリックの力強い音を聴いたりすると、上手い人は、とてつもない口の周りの筋肉と、肺活量と、耐久力があり、それを維持するための血の滲む努力があるんだろう。と思わざるを得ない。
そして、あなたは心のどこかで、
そんな今のトランペットの吹き方に、どこか問題がある気がする…
変な癖のある吹き方になっていないか心配…
最近、なんか上達に限界を感じる…
でもまあ、一応曲も吹けてるし、高い音だって出るし、自分より下手な人だっているし、今まで通りでもなんとかなるって信じたい。。
とも考えたりしていませんか?
そんなあなたに、本日紹介する”長倉穣司さん”はこう尋ねます。
「ほんのちょっとの息でも、敏感に反応して振動する唇になっていますか?」
「あなたは音が自然と出るのを待っていますか?無理矢理出していませんか?」
少しでもびくっと来たあなたへ。
今日を、あなたのトランペット人生の”再出発(=ゼロスタート)の日”にしてしまいましょう!!
“『トランペット・ゼロスタート』を是非紹介させていただけませんか?”
気付いたら僕は、興奮と勢いのまま、そんな内容のメールを長倉さんに送っていました。
ネットの海は、あまりに広すぎて、いい情報が奥底に埋もれているものです。
だからこそ、無数の石ころの中から、光り輝く宝石はここにあるよ!と提示することに価値があると、僕らトラ道は信じています。
なので、長倉穣司さんのトランペットの吹き方講座『トランペット・ゼロスタート』を見つけた時、
これは紹介しないといけない。
そんな、使命感に似たものさえ感じたのです。
とにかく、まず、『トランペット・ゼロスタート』の内容を見ていただきたい。
トランペットは、どんな奏法でもある程度音が出てしまいます。中には間違った方向に大きな力を使っている人もいます。
『トランペット・ゼロスタート』より一部改変して引用
(中略)
トランペットはこうやって音を出すのものだ、という、いわば手品のタネをわかっていないといけない。しかし、タネがわかったところで手品はできない。タネを悟られずに客前で披露するためには、それなりの訓練が必要です。
(中略)
今の自分の奏法・音の出し方がうまくいっていないと思う人こそ、ここは「なんとか今までの自分の吹き方のいいところだけを残して、新しい考えを取り入れて行こう」などという中途半端な考えではなく、「これから全く新しい楽器を1から習うと思い、考えを一度リセットし、ゼロからスタートする。」ことをお勧めします。
一部分だけですが、これだけでもグサッときた人もいるはずです。
自分は(トランペットを吹くための)手品のタネを知らなかった。ということを認めること。
今までの癖を綺麗さっぱりゼロにリセットし、手品のタネを身につけるために訓練をする、という覚悟を持つこと。
が、まず何よりも重要だということをおっしゃっています。
これからもわかるように、
長倉さんのこのメソッドは、楽器を吹く上での考え方(マインド)にかなり重点を置いているんです。
もちろん、具体的な練習方法も、長倉さんの経験や理論に基づいた説得力のめちゃくちゃ高いノウハウです。
ですが、僕がこの『トランペット・ゼロスタート』に感じた一番の魅力は、この、自分自身の悩みに、根本から寄り添ってくれている感覚でした。
良くありがちな、無機質にアドバイスと楽譜があって終わり、みたいなものとは一切無縁なんです。読んでいてとても安心感があるんですよね。
ああ、これやってれば大丈夫なんだ。もうやるだけじゃん。という確信さえ感じるんです。
ぜひ、1人でも多くの人に、このメソッドが届いて欲しい。
これは紛れもなく光り輝く宝石である。
そう思わせてくれたのは、こんな理由があってでした。
そんな経緯があり、紹介させてほしい旨のメールを送らせていただきました。送った翌日の朝7時にお返事をいただき、このように紹介することを快く承諾してくださいました。
さらに、このメソッドを独学で実践する際の注意点、このメソッドを作成した経緯や今後の展望など、貴重なご意見もご教示くださいました。
この度は貴重な機会を頂きありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
そんな『トランペット・ゼロスタート』は、こちらから見ることができます(全37ページのPDF形式)。
読んで実践する前に、知っておいて欲しいこと。
PDFは開けたでしょうか?
このまま『トランペット・ゼロスタート』を読み進めて実践していただいても何も支障はないのですが、
これから先は、より『トランペット・ゼロスタート』を理解できるような内容を書いていけたらと思っております。
具体的には、
- このメソッドの内容は信頼できるのか?
- ざっくり、どんな人向け?どんな内容?を解説
- 長倉さんから直接ご教示いただいた、独学の上での注意点
- トラ道のいとけんが、実際に長倉さんのレッスンを受けてみた感想!(準備中)
という感じです。
『トランペット・ゼロスタート』の内容は信頼できる?
正直なところ野暮な質問なのですが、念のため説明させていただきます。
まず、この『トランペット・ゼロスタート』を作成された長倉穣司さんについて、紹介させてください。
長倉 穣司(ながくら じょうじ)
1952年生まれ、武蔵野音大卒。
新星日本交響楽団(2001年に東フィルと合併)に約40年間在籍、内約20年間は主席奏者も務められていた、プロトランペット奏者(2012年に定年により引退)。
現在はフリーのトランペット奏者として活動されており、指導者として後進の指導にも熱心に取り組んでおられます。
説明するまでもないですが、長年オーケストラ界の第一線でご活躍されてきた方です。
少なくとも、演奏技術に疑問を抱く人はいないでしょう。
そんな方が作成された体系的なメソッドを、無料で見れるなんて本当にいい時代になったものです。
ただ、懸念点をあえて上げるとすれば、
上手い人でも、教え方まで上手いとは限らないのでは?
という部分になるでしょうか。
その点に関しても、全く心配するに値しないと思っています。
少し感覚的な話になってしまいますが、実際にメソッドを全て読んでいただければそう断言できる理由がわかるかと思います。
…とはいってもそれだと無責任なので、少し文章でも補足をしておきます。
これは長倉さんもメールの返信でおっしゃっていたのですが、まず1つに、このメソッドは、対面でのレッスンを長年続けていた過程で出来上がったものだということが挙げられます。
その証拠にメソッド内には、理解を助けるための特徴的な比喩(手品の喩えが一番好きです!)や図での説明など、”過去の生徒さんがつまづいたであろう箇所”の補強が随所にされていることが見て取れます。
次に、先にも書きましたが、どんな考え方・覚悟・心意気で取り組むべきかという、楽器を吹く以前の部分の記載にかなり紙幅が割かれています。
これも、陥りやすい精神的なブロックを突破するための工夫なのは間違いありません。
このメソッドが信用できないとしたら、他のどのメソッドも信用できないのではないか?と言っても過言ではないくらい、どの側面からみても磐石なメソッドであると僕は考えます。
ざっくり、どんな人向け?どんな内容?を解説
まずは、目次を見ていただくと全体像は浮かびやすいかもしれません。
ただ、目次だけを見ると、ただの基礎練習のやり方教材?と思われるかもしれませんが、断じてそんなことはありません。
このメソッドをざっくり説明すると、
”力んでいる”、”今の吹き方だと成長に限界を感じる”など、今の奏法に不安がある人向けに、
現在の吹き方を一旦ゼロにリセットして、
時間をかけて、良い奏法をゼロから徐々に再構築するためのメソッド。
という感じになるでしょうか。
一旦ゼロにリセットする。というところが一番のミソです。
「今の吹き方のまま、マイナーチェンジして改善したい」なんて甘えた考えは持たない方がいい、と長倉さんは一蹴しています。
風邪をひいたから風邪薬を飲む、というその場しのぎの方法ではなく、根本から風邪をひかない体にしてしまおう、というアプローチを取らないと改善しないよ。という強いメッセージを感じます。
そのためにはどうすればいいか、という主張も一貫しています。
“良い奏法・正しい奏法とは、できるだけ効率よく音を出す奏法である。
そのための一番重要なポイントは、「必要最小限の力で吹く」を体得することだ。
その感覚に徐々に慣れるために、ゼロから楽器をスタートするように根気よくやろう”
これが全ての根幹にあって、そこから具体的な練習方法が生み出されているわけです。
「必要最小限の力で吹く」というのが本当にキモです。
必要最小限の力とは、「体が自動的に行ってくれる範囲」の力のこと。
ブレスを吸うとき、唇の周りも、楽器を持つ力も、喉周りも。
全て、変に力んでいる部分がなくなる状態が理想なのだそうです。
“リコーダーを吹く時は(ほとんど)力要らないでしょう?トランペットだってそのくらいの力の使い方、息の出し方で吹けるんだよ。”
を見て、「うそ!?」と度肝を抜かれる人が見て取れます。
今まで、振動しにくい唇を無理やり振動させていたり、勢いでえいや!っと音を出していた人は、最初は、文字通り本当に何もできないことでしょう。
マウスピースすら音が鳴らない。チューニングのBbすら出ない。
そうして焦る気持ちも出てくるかもしれませんが、「この方法以外に治す方法はない」という長倉さんの言葉を信じ、根気よく続けましょう。
もし1人の意志だけで治そうとしたら、「今まで当たり前に吹けてたことができない…」と間違いなく心が折れてしまうことでしょう。
そうやって挫折しないためのメソッドなのです。
やったことがすぐ効果に現れないことにイライラしてしまうかもしれません。
しかし、毎日最低これだけはやりましょう。という基礎練プランが決められています。1日30分です。迷うことはないでしょう。
「毎日毎日少しずつ時間をかけ、汚れた水に徐々に綺麗な水を入れていくように修正していくしかありません」
しっかり、実践練習用の楽譜も添付されています。
初級編の譜面はこの7種類です。
1.ロングトーン
2.インターバル
3.リップスラー
4.舌の位置を整える
5.リップスラー2
6.リップスラー3
7.ウォーミングアップの仕上げ
1つ釘を刺しておきます。
必ず、PDFの文章を全てくまなく読み進め、なぜこの練習をやるのか?を自分で納得してからやるようにしてください。
ただ楽譜の通り練習するだけ、メソッドの一部分だけを見て取り組む、という方法だけはしないようにしてください。治すどころか逆効果になる恐れさえあります。
長倉さんから直接ご教示いただいた、独学の上での注意点
先ほどもお伝えしたように、このメソッドは、対面レッスンの過程で出来上がったものなのだそうです。
そのため、独学で実践しようとしている場合、指導者が都度都度アドバイスしてくれる環境で行うのが理想であることは覚えておかなければなりません。
メールの返信にて、
”とにかく書いてあることを読みながら実践して頂ければ、そんなに大きな問題は起こらないと思います。その後、疑問に思ったり、もっと詳しく了解したい人は僕に連絡してレッスンに来ていただければと思います”
とのアドバイスをいただきました。
つまり、
メソッドに忠実に取り組む限り、独学で学んでも問題はないということと、
少しでも迷いが生じたときは、ためらうことなく対面で聞いて解決した方がいいということを肝に入れておくべきだ、ということでしょう。
また、奏法を矯正するには、半年から1年と、かなりの長期スパンがかかるということは念頭に入れておくべきでしょう。
もしあなたが中学生か高校生だとしたら、矯正している間にコンクールが来てしまう、部活を卒業してしまう、という状況かもしれません。
もちろん、吹き方をゼロから作り直すので、客観的に見たら一時的に下手に聞こえてしまう可能性があります。それを我慢できるかどうか?は特に考えるべきポイントかもしれません。
(実際は、良くない吹き方から良い吹き方にしているのでずっと成長してるのですが、一時的に高音が出なくなったり、音色が悪くなったりという副作用は間違いなく起こります。
こういう場合は、自分1人で考えこまずに長倉さんに直接アドバイスもらうのが賢明だと思います。)
長倉さんへのレッスンお問い合わせはこちらから。
初回お試しレッスンであれば、学生なら120分3,000円(社会人は5,000円)+レッスン場所代で受けることができます。
レッスンって大体、90分10,000円前後くらいが相場だと思っているので、正直言って、このレベルの方にこの値段で見ていただけるのは破格すぎます。
遠方の方にも、スカイプレッスン(値段同じ)や出張レッスン(交通費負担)も行っているようです。
一度だけ受けてみて今後の方向性を示してもらうだけでも、完全独学よりはかなり安心度は違うはずでしょう。
もちろん、途中まで独学でやってみて、行き詰まったら受けるというやり方でも良いですね。
トラ道の中の人(けんちゃん)が、実際に長倉さんのレッスンを受けてみた感想!
百聞は一見にしかずという言葉があります。
僕はメソッドを何回も読み込みましたが、実際にトランペットを吹いて試したわけではありません。長倉さんのアドバイスや生音を直接聞いたわけでもありません。
なので先日、トラ道の中の人(けんちゃん)が実際に長倉さんのレッスンを体験してきてもらいました!
メソッドを見るだけでは分からなかった部分など、対面でしか伝わらないレポートを作ってもらいました!
最後に
この『トランペット・ゼロスタート』は、今までもたくさんのトランペッターを救ってきましたが、これまで以上に、このメソッドがいろんな方に伝われば良いなと思っています。
特に、中学生高校生の部活シーンを見てみると、このメソッドとはかけ離れた指導方法が、当たり前のように行われているように思います。
僕も中高吹奏楽部でしたが、ちょっと思い出すだけでも、ひどい習慣・伝統があったなぁと思わされます。
アンブシュアは唇に力を入れて横に張るんだとか、
ハイトーンは息のスピードで出すんだとか、
胸式呼吸にならないように腹筋に意識的に力を入れろだとか…
もちろん、それを指導した顧問の先生も、先輩も、同期も、悪気はないんだと思うんですけどね。
そうした些細なことが、無数のトランペット人生を揺るがしてきたんだろうな…そのせいで悩んで嫌になって諦めた人もたくさんいるんだろうな….などと考えると、少し胸が痛くなるのです。
部活って、閉鎖的なコミュニティだから、間違いや違和感も気付きにくいと思うんですよね。
この『トランペット・ゼロスタート』のような、素晴らしいコンテンツがネットを探せば見つかるのに、それを見つけることなくトランペットを諦めていくわけです。
症状に効くワクチンがあるのに、それが当の患者さんに届いてない、そんなもどかしさ。
そんな人々のうち、たった1人でも救うことができたらこの記事を作った甲斐があったというものです。
ここまで読んでいただいた方、時間を割いてお読みいただきありがとうございました!
最後に、諸々のリンクを貼って記事を締めたいと思います。
長倉穣司(トランペット奏者) 公式Webサイト
『トランペット・ゼロスタート』PDF(全37ページ)