教本

【書評】ボビー・シュー「科学する演奏法」

はじめに。


こんにちは、けんちゃんです。

今回は、杉原書店出版の「科学する演奏法」の書評を書いていきます。

著者は生きる伝説的なプレイヤー、Bobby Shew(ボビー・シュー)さんです!



本と思って買うとびっくりするぐらい薄い小冊子なのですが笑、書かれている内容は再現性の高い知識が書かれています。


身体・楽器・奏法を科学する。


再現性のある方法で、どのようにトランペットを吹くのか?をクリニックの内容をまとめて制作されたものです。

今回は、自分が感銘を受けた部分を抜粋して紹介します。興味を持った方は是非購入を検討してみてください!

身体・楽器・奏法を科学する


この本に通底してるのは、再現性のある奏法をどう実現するのか?です。

まさに科学するという言葉が示すように、ダブルハイCのような高度な技術も正しく技術を学べば身につけられるという新年で語られています。

才能という言葉で片付けず、再現性を持った形で実現する方法はないか?を語っています。

身体を科学する 呼吸法と唇のウォームアップ

呼吸法

管楽器でもっとも重要なのは、呼吸法
身体を学ぶ上では「Science of Breath」を読んで欲しい。

※この本を読んでいる途中なので、要点がまとめられたらまた記事にしたいと思います!

唇のウォームアップについての基本的な4つのステップ


唇とは、
・唇のそのものは筋肉ではなく、大変柔らかい組織でできている
・唇の振動を助ける筋肉(口輪筋)は、唇の周りから顔部分にかけて分布

唇のウォームアップは、「良い感触を得る」こと。
そのための4つのステップを行うのが重要。

フラッター

目的

・唇の周りから顔全体をブルブル震わせ、血中に溜まった乳酸を血液中に排出し、新たに酸素と血糖を取り入れること。
・ウォームアップのゴールは、自分が到達できる最高の状態に設定。
・良い状態を正しく把握して、毎日そのレベルに達するように工夫すること。これがコンディション保持の第一歩になる。
・演奏中に調子が良いな!と感じた時は、その状態を毎日目指すために記憶する。
・自分が「良い状態」にあることを気づくこと、これこそが最も大切なこと。

リップ・バズィング

目的は2つ

・唇の一番振動しやすい場所を見つけること
 ・唇の中央で吹け、というのはあくまで「意見」でしかない。
 ・自分の唇が振動しやすい場所を探す
・口角周辺の筋肉をトレーニングして鍛える

やり方

・舌の先端を唇の間から僅かに出し、引っ込めるのと同時に息が出るようにして振動させる
・必ず舌を出して、舌が抜けた後の穴から息が出るようにする
・両脇の口角部の筋肉は、リップ・バズィングを支えるようにして硬くしておく。
・なれていない場合は人差し指と中指を少し曲げ、指先を指一本分(マウスピースの内径ぐらい)開け、唇の合わせ目の真ん中あたりに軽く当ててバズィングするとやりやすい。

・やりすぎないように、筋肉を疲れさせないように30秒以内に抑える。
・1回30秒以内、1日6~7回に分けてやることを勧める。

マウスピース・バズィング

目的

・いろんな音域に対してアパチュアをフォーカスさせるトレーニング。
・リップ・バズィングとは別のものとして捉える。

・マウスピースと楽器の関係を科学すると、マウスピースが楽器であり、トランペットは単なるアンプリファイア(増幅器)。マウスピースを楽器として上手に吹く重要性を認識する。

・唇のアパチュア(開口部)が閉じているとうまく鳴らない。マウスピースをトランペットにセットして、吹きながら顎を上下させ、ちょうど良い所にフォーカスする。顎の上下の動かし方が大変重要なポイント。

・ウォームアップなので、唇の感触が快適になったところでやめること。やりすぎは禁物。ほんの数分で十分。

・音域は中音域からはじめ、スケールをシングル・タンギングでスタッカートで吹いたり、スラーやグリッサンドでも吹いてみる。

楽器を吹く

ボビーの意見

・トランペットの音域は3オクターブあるから、中音G (第2線)から吹きはじめて、少しずつ下げたりあげたりしながら徐々に音域を広げていくのが良い。

意識すること

・良い音が出なかったら、顎を下げ、アパチュアを広げて良い音になるように調整

・良いサウンドの出すには、「アパチュアの開き」「息の圧力のバランス」が大切

・それぞれの音域と音量に合わせて最高のフォーカスに絞り込んで練習することが重要

・アパチュアをコントロールするのは顎。強いエアを入れすぎてアパチュア広げるのは間違っている。顎を使ってコントロールするのが楽に吹くコツ。ちょうど良い「スイート・スポット」を見つけるようにする。

奏法についての意見

演奏者が追い求める2つのこと。

1.音質
2.どれだけ楽に吹いているか

2つは常に一緒であって、良い音質で吹いているときは感触も必ず良いはず。この2つには常に注意と関心を払うこと。

ベルからでる音を聴き取る練習方法

・2つの綿(ティッシュ・ペーパーでも良い)を耳栓として左の耳に
・中音Gを音量を変えて吹いて聴き取る練習する。
(左耳を塞げば芸術的感覚を司る右脳が働く。右耳に詰めると論理的思考を司る左脳が働く)
・次は両耳を塞ぐ。身体で感じ取るのみの状況で「良い感触」をつかめるようになるまで吹いてみる。
・ただ吹くだけや聴くだけでなく「感じ取ること、気づくこと」がとても大切。

ボビーの意見

ペダルトーンを練習にすること
・振動数の少ないバイブレーションを得ているにすぎない。
・フラッターの方がもっと効果的。

マウスピースの選択

マウスピースは大まかにいうと、カップの深さによってDeep(深い)、Medium(中庸)、Shallow(浅い)と3つのカテゴリーに分けられる。


・初心者はMで始めるのが良い。悪い癖がつきにくい。クラシックでもジャズでも基礎ができてからDカップに移行すれば良い。

・初心者がDを使うとエネルギー・ロスが起きてエアのスピードが遅くなる。

・初心者は必ず口を閉じるから、アパチュアのコントロールを失い、マウスピースを唇に強く押し当てて悪いくせになってしまう。

・1つのマウスピースで吹かなければいけないという考え方には賛成しない

高音域での息の量

・高音域では量は少なくていいが、早いスピードでエアを噴出する必要がある。

・物理学的に言えば、エアを早く動かすには量を小さくしなければならない。エアを入れすぎたら音は出なくなる。

・息が多すぎるとバスケットボールは小さいスロートの穴に入らない。息が多すぎると「バックオフ」と言ってエアが跳ね返ってくる現象が起きる。

・射的のように的を狙う感じで吹く。マウスピースの中で起きている科学と身体の感覚を繋ぎ、それを身体に覚えさせること。

・低音Cはバスケットボール、中音Cはソフトボール、高音Cはゴルフボール。最初から大きな音で拭いてはいけない。

全ては「意見」にすぎない。裏付けを取る。

・いろんな意見があってもいいが、必ず科学的な裏付けをとること。

・目を閉じ、心は開き、自分が何を考えているかということに集中して欲しい。

・一番いけないのは完璧に演奏しなきゃダメと思い込みすぎること。練習では自分のベストをつくし、毎日新しい何かを学ぶことはしても。完璧な存在ではない。

最後に。音楽で大事な2つのこと


今回はボビー・シューさんの教本から学んだことを抜粋しました。

特に唇のウォームアップは大変参考になりました。


「正しい奏法を身につけること」
「再現性のある意見を取り入れて練習を積み重ねていくこと」


この2つがとても大事だと言うことを再認識しました。
世の中には様々な教本とそれに付随する意見があります。

けど、それは本当に正しいのか?そして再現性があるのか?は冷静に向き合わないといけません。

そう言う意味で、プロの意見など様々な客観的な意見を取り入れて、常に知識をバージョンアップさせていくことは大事です。

学び続けましょう。


最後に、ボビーが語っていた「音楽する上で大事なこと」を紹介して終わりにします。


音楽する上で大事なことは2つ

・人に好印象を与える。感動させる。
・心に触れる。


人々を感心させようとか、好かれたいとも考えてはいけない、ただただ楽しむ。
音を外しても音楽家である楽しみをなくすわけではない。気にしなくて良い。


楽しんで精進していきましょう。

ありがとうございました!

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