もくじ
トランペットを独学で学ぶのは難しい
この記事に辿り着いた方は、皆トランペットが少なからず興味がある方であることは間違いないでしょう。
それも、トランペットを独学で学び、上手くなりたい!という熱い気持ちがある方が訪れてくれていると思います。
このサイトでは世界中の最高にかっこいいトランペッターたちを紹介しています。中には天才的に吹ける人たちが、独学で大成したケースもあります。
有名な話だとAllen Vizzuttiさんは、有名な先生について丁寧に教わるという経験ではなく、アーバン(トランペットの有名な教則本)をひたすら繰り返すのが普通だと考えて、毎日1周し続けていたという逸話を聞いたことがあります。
これはトランペット吹きでアーバンに取り組んだ人は御伽噺か?みたいなテンションで受け取るくらいものすごい話で、独学で成長することができる稀有な例と言えるでしょう。
この章のタイトルで言ってしまっていますが、私は「トランペットを独学で学ぶのは難しい」と考えています。これは多くのトランペッターもいうところでしょう。
この記事では私の体験談も踏まえて、なぜ独学が難しいのかを解説します。
とはいえ、そんな現実を書くだけの記事では何も価値提供できないので、私が考えている学習方法をお伝えし、とりうる選択肢で学び、トランペットを楽しめるような情報提供を行いたいと考えています。
トランペットの難しさは、「リード」部分の構築が困難であるから
トランペット独学の壁を阻む一番の壁。
それは、アンブシュアです。
アンブシュアとは、管楽器一般の機能でいうところの「リード」に当たるものです。
振動を生み出し、楽器の中で増幅させて音に変える入り口の部分です。
管楽器にはこのリード部分があるのですが、トランペットをはじめとした金管楽器は唇がこのリード部分を担います。
サックスなどの木管楽器は、ダンチクという植物からできた薄い板状のものをリードとして使います。楽器にくっつけてこのリードを振動させて音を作ります。
一般的に木管楽器の方が音を出しやすいです。
なぜならば、リードを鳴らすための仕組みは全て楽器本体が担ってくれているからです。
木管楽器の方が音楽する上で簡単である、という話ではないのですが、音の出しやすさという点では用意されている機能部分で優位であることは否めません。
金管楽器はどうかというと、リードを支えるのも口輪筋という身体的な機能でありますし、振動を生み出すアンブシュアの部分も唇で、全て身体が音を出す基礎を担っています。
唇の振動という身体的なものから楽器の力を加えて出すため、リード部分が安定していないと適切な音が出せません。
トランペット独学の最大の壁はここです。
リードとなる身体部分を音を安定的に出せるような状態にするところで多くの人はつまづいてしまうのです。
さらに付け加えておくと、トランペットという楽器は金管楽器の中でもさらに難しさを助長している点があります。
それは、金管楽器の中でも出す音が高い分、振動させる範囲が狭いのがベースになっていることです。これの難儀な点は、「力みやすく、不用意な力が入ってアンバランスな奏法になりやすい」ことです。
次の章では私の苦い経験と共に、これがいかにトランペット独学を阻む壁になるのかをお伝えします。
独学で試行錯誤し、最短で上手くなろうと努力した高校時代の失敗経験
私は、高校生の時にトランペットに出会いました。
きっかけは吹奏楽部です。
トランペットを続けることになったきっかけは、今思えばものすごい偶然だったなと思いますが、今も続けられているのでとても良い選択だったなと今でも思っています。
入部した当時の同期は自分以外が全員、中学からの経験者でした。
一方で自分は音も何かよくわかっていない状態。
プライドだけがすごく高かったので、周囲に教えてもらう動きを全然取れませんでした。
先輩にもフォローはしてもらっていましたが、意固地になって「とにかく最短でなんとか上手くなってやるんだ!」と独学で成長してやると闘志を燃やしていました。
- ネットで検索して、評判の良い練習方法をノートにまとめてみたり
- 高校帰宅後、大型本屋の楽器屋コーナーに入り浸り、教則本を片っ端からめを通したり(バイトもしていなかったので買えなかった)
- 学校の楽譜保管室に入って、有名曲のフレーズを引っ張ってきて練習曲を自作したり
できることはいろいろ試してみました。
熱心に、下手なりに試行錯誤を続けてなんとか上手くなろうとしました。
この当時の目標は「1年以内にHigh Cを出せるようになること」という目標でした。
トランペットといえば、ハイノート!
高い音で、かっこよく自分を魅せる演奏を早くしたい! 周りにおいつきたい! エリック宮城さんみたいになりたい!
そういう極端な目的だけを追い求めて、無理矢理音を出せるようになることに必死にとりくんでいました。
当時、ハイノートをとにかく出したかったので、エリック宮城さんモデルのマウスピースを誕生日プレゼントで買ってもらっていました。
彼のマウスピースは特別仕様すぎて当時の自分では使いこなせるわけもなく、ただただ薄い音が出る始末でしたが、とにかく必死だったことを覚えています。
エリック宮城さんはこういう方です!
高校1年も終わりに差し掛かる頃。
なんとか目標だったhigh Cの音が出せるようになってきました。
ですが、出せるといっても無理をして出しているようなもので、今ふりかえると音と言えるかも怪しいものですが、なんとか目標達成したぞ!とものすごい喜んだことを覚えています。
この当時から、この独学方法が悪影響を与えることに気づき始めます。
毎日ウォーミングアップしてから30分ほどはふけるのですが、一定吹き続けると途端に老けなくなってしまうのです。
全然、エネルギーが続かず、音もすっかすかになっていまいます。
一番顕著だったのが、高校2年生ごろの夏の吹奏楽コンクールでした。大事な1st トランペットを担うことができたにもかかわらず、重要なところで音を出せない始末。
意気揚々と俺は高い音が出せるぞ! 出せるようになるまで独学で頑張ったんだ!というような、むりやり作り出したちっぽけなプライドが打ち砕かれたのがこの時でした。
私は、自分の練習方法が間違っていたこと。
アンブシュアが適切でないことを思い知らされました。
この時期あたりに、私は今の基礎をつくるきかっけとなったプロの講師の方と出会います。
過去のアンブシュアを捨てて、1から適切な奏法をできるようになりたい。
そういう思いを伝えて、高校3年生の時は出せる音を大幅に制限される形にはなりましたが、地道な基礎練習に励げむ選択肢を取って、今に至ります。
この当時は本当に辛かったです。
なんで、最初からちゃんと基礎を学ばなかったのだろうかと。
独学でもがくのではなく、最初から基礎を学ぶべきだったのではないかと。
今となっては、独学で模索した挑戦があったからこそであり、全て良い経験だったなとは思えています。
ですが、同様の壁にぶち当たった時、多くの人はトランペットから離れる選択肢を取ってしまうことになるのが多いのではないでしょうか。
私はこの苦い思い出から、初心者ほど最初は独学で取り組むことを避けてほしいなと考えています。
トランペットは素晴らしい魅力に溢れる楽器ですが、難しい楽器です。
その難しさとは、最初の基礎を適切に作ることが独学だとなかなか掴みにくいところにあるからです。(着実な基礎を身につけた後は、最高に楽しい日々が待っています)
トランペットを独学で学ぶことに興味がある人ほど、まずプロの手解きを受けてみてほしい
トランペットを独学で進めることの難しさについて私の体験をお伝えしました。
私からのメッセージは1つです。
最初ほど、プロの手解きを受けるという選択肢を持ってほしいということです。
これは社会人になってからも痛感しています。
何事にも言えますが、重要なのは今の自分が置かれている現在地を知り、向かいたい理想に対してどういうギャップがあり、何を進めていくべきかを明らかにすることが重要です。
これは、なかなか独学で判断できたり、知ることができる内容ではないことが多いです。
プロはさまざまな経験を持って、第一線で演奏活動をしています。
彼らは正しい基礎奏法が身についているが故に、トランペットで音楽をするという次のステージに進んでいる人たちです。
初回ほど、彼らから基礎を学び、自分の現在地を客観視することが大きな価値になります。
シンプルな物事であっても、間違いの行動を小さく続けているうちに気づいたら複雑な事象に様変わりしてしまいます。
私も実は、新たに成長するためにここ数年間はレッスンを受けています。
長倉先生の元で、正しいアンブシュアのトレーニングを行い、基礎力を磨いています。
これにもっと早く出会いたかった!と思うことの連続です。
過去に自分がよかれと思って積み上げてきた悪いくせたちが、一番の強敵となって立ち向かってきます。そういうものを1つずつ整理して、シンプルにしていく作業。
早い段階で解決に向けた動きがいかに重要かを強く実感しながらレッスンを受けています。
世の中にはさまざまなプロ演奏者がいます。
トランペット独学を目指す方は、まず、彼ら彼女らの門戸を叩いてほしいです。
私の二の舞になって、無駄な苦労をする人がへったら幸いです。
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